誘拐 ―おまえに決めた―

ここだけ時間が止まったよう。



この部屋は外界と遮断された危険な空間なのか、それともこの部屋だけが今の私には安息の地なのか。


外にいる他の誘拐犯たちからも、お父様からも、そして警察からも私は捕らわれていない。

私は危険に麻痺しているのか。



アンバランスな静謐がとりまく。



私とリク二人きりのやり取りだけが続く閉鎖された部屋。



リクは、緩慢に私の腕に結わえられた縄を外した。


「次は腕、拭くよ」

「あ、うん・・・・・・」





その時、


『パン!!!』



しじまを破る音が響き渡る。




< 115 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop