誘拐 ―おまえに決めた―

「リクっ・・・・・・」


何度も何度も唇を重ねる。




すでに、呼吸は整っているのに。

舌を絡ませ、相手の奥へ奥へと入り込もうとする行為。



お互いの唇から垂れるのは唾液なのか、それとも周囲の水分なのかも分からないまま。




ただもしここで私が終わってしまうなら、最期に感じたいものがあると。


その温かさを感じたい。



「んんんっ」

「マイマイっ」


きつく抱きしめられた時、私は今度こそ深く意識を手放した。











< 188 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop