誘拐 ―おまえに決めた―

ぐらり、ぐらり、

と視界が揺れる。




天井が近くなったり、

遠くなったり。



ああ、まただよ。

意識が遠のくよ。




視界がぼやけて見えるのは、

私の意識のせいか、

それとも瞳の水分量が上がっている

からなのか。




あいつは消えたのに、

夜の帳とともに記憶からやってくる。


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