誘拐 ―おまえに決めた―
「マイ、ここの椅子に座ってよ」
そこには何の変哲もなく、古式ゆかしいタイプの木の椅子があった。
クッション部が全くない、木のみの椅子なので座ると背中が痛い。
「手を後ろにまわしてよ」
言われたままにする。
麻の感触が触れたと思うと、縄で後ろ手に、腕を椅子に縛られた。
「一応ね」
リクは無機質に言う。
その言い方は、私が人質であることを再確認するようだった。
上半身はキャミソール、下半身はスカート。