誘拐 ―おまえに決めた―
リクは、自分の膝に乗せていた私の足を、少しだけ持ち上げた。
そして首を傾げ、私を見る。
瞬き一つ、しない。
真っ直ぐに。
何を考えているのか、読めない。
「これ、どうした?」
「・・・・・・」
「この傷の多さ、昨日今日のものじゃないだろ?」
「言いたくない」
なぜ、こんなこと聞くのだろう。
リクは。
触れないでほしい。
このことは、誰にも知られたくない。
誰にも。
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