誘拐 ―おまえに決めた―
「ちょ・・・・・・」
軟体動物が這うようなねっとりとした感触。
傷に沿って、ふくらはぎを下から上にゆるりゆるり舌が伝う。
「ねぇ、待ってよ!」
リクの頭を両手で押さえて抵抗したいところだけど、何せ手は後ろに縛られている。
足はがっちりとリクに掴まれ、身動きがとれない。
私の動揺なんてお構いなしに、リクは答える。
「消毒」
「何言いきってんの? いいよ。やめてよ」
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