天国への階段 ―いじめ―
 



余計なことは言わない。


「万里香と仲が良い」なんて言ったら、
「今度うちに来てもらえば?」なんて返ってくるような気がするからだ。



「そう、よかった――」



ママはいつもそれだけだ。
文句なんかない。それでいい。
深く突っ込まれて、いじめられているのがバレて、心配されるよりずっといい。
 

仕事で忙しいから、ママは私のことに手をかけられない。
そのことを一番気にしているのは、ママ自身だ。


ママはきっと、私がいじめられていることを知ったら、疲れとストレスで倒れてしまうだろう。

体が凄く弱いのに仕事をしていて、普通の人よりずっと疲労に悩んでいるのに……。
学校に来たり、いろいろなところを駆け回ったり。きっと、私を守ろうとしてくれる。



でも、ママにはこれ以上大変な思いをさせたくない――。





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