天国への階段 ―いじめ―



「斉藤……。
今回のことは、金銭がらみで難しい話し合いだったが、他の先生方も、斉藤の授業態度を知っているから、『見逃す』という意見だった。ただし、今回だけ、という条件だ。義務教育だしな…。けど、次に何かあった時は…重い処分が下るだろう」



 
そう言って、吉木は「教室に戻れ」と言った。



吉木は、私がいじめられていると知っていながら、何もしようとはしないのだ。そう痛感した。
 


戻るに戻れなくて、私は放課後になってから教室に行った。


すると―――、教室には、英子ひとりが居た。
唇を軽く噛んで自分のカバンを取ると、英子が口を開いた。





「私は、麗子のためならなんでもする―――」








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