天国への階段 ―いじめ―



「天国への階段なの…」
 


そっと、それだけ呟いた。



「…ふうん…」



相島さんもそれだけ呟いた。
 


初めて人に“天国への階段”と告げた。
この言葉の意味を、相島さんはわかるだろうか。
もしかしたら、わかるかもしれない。


そうしたら、相島さんはどう思うだろう。
何かを、私のためにしてくれるのだろうか――。
 


今日上った分の階段を見つめた。
そして、先に続く階段を目で追った。
 


明日からも、私はこの階段を上り続けるだろう。
“相島まりあ”という人に出会い、今日の短い時間の中でも感じることはたくさんあった。



けれど、それで何かが変わるわけじゃない。
 


何かが……変わるわけじゃない。






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