19の夏~私の愛した殺人鬼~

 その時、ネコが車を下りて携帯電話へと歩いて行った。


「……っ!」


 青ざめたままの沙耶香は声が出ない。


 ネコが携帯を手に取り、汚れを払っているのが見える。


 携帯電話は二つ折りで、薄いグリーンをしている。よく、見覚えのある形だった。


 電源が入るかどうか確かめながら、こちらへ近づいてくるネコ。


 沙耶香の呼吸が荒くなっていく。


 苦しいのか、時折大きく吸い込んでは小さく小刻みに吐き出す。
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