心の友と書く『心友』がいますか?
うちの学校からも何人かこの大学を受験しているけど、私と同じ学部の人はいなくて
1人でキャンパスを抜け正門に向かって歩いていて。
正門前に、信じられない人の姿を確認して
胸がドキンとすごい音を立てた。
「何で?」
取りあえず私の見間違いじゃないかとそのまま足を進めて
距離が近づけば近づくほど見間違いじゃないって分かってしまって。
「よ!歩兵。どうだった?手ごたえは」
「潤」
私がクリスマスイブにあげた手袋をしてマフラーをグルグル巻きにして
ふだんはしてない眼鏡を掛けて立っていた。
「ははっ!全力を出し切りました!」
敬礼するように右手を45度に曲げて報告する。
潤は私の姿にプッと吹き出しながら駅へ向かうように促して来たんで横に並んで歩き始めた。
潤?明日はあんたの大事な受験なんだよ?
何で前日の今、ここにいるの?
口に出せない疑問がグルグルと頭の中を駆け巡っていて。
だけど潤はどこか飄々としていて余裕さえ見える。
改札で切符を買って電車に乗る。
予備校のある駅まで3駅。