心の友と書く『心友』がいますか?



電話を持つ手は3月なのに汗ばんでいて。



『じゃあ・・・母さんが開けていい?』


「た、大役をお願いしてもいい?」


『分かった。じゃあちょっと待って』



受話器の向こうでガサガサと封筒を開ける音が聞こえる。



春香も気になったのか、私の携帯に耳を近づけている。



2人で携帯を挟んで前を見て。



同時にゴクリと唾を飲み込むと・・・





『・・・真琴ぉ』



母はすこし戸惑ったように声を詰まらせていて





私の緊張感はピークに達して、電話を持つ手と反対の手が


隣に居た春香のコートの袖をキュッと掴んでいて。





『・・・おめでとう!合格だって!キャー真琴!合格合格』



思わず耳から携帯を離さないと鼓膜が破れそうな母の興奮した声が聞こえ



「真琴!おめでとう!」



ギュッと春香に抱きつかれても





私はまだ呆然として電話を握りしめていた。



『真琴!ちゃんと合格通知が届いてるから帰ってきたら自分の目で確かめなさいね』



母の声が遠くに聞こえて



私はジワジワ込み上げてくる嬉しさをやっと実感できて





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