ストリート



いくら探しても、何の情報も上がって来ない。コンビニを見張っていても彼女は現れないし、探し回っても会う事はなかった。


でも、絶対に見つけ出す。


そうして忙しい日々を過ごす中、1日に10分程度はバーに顔を出すようにしていた。


でも4日がたったある日、いつものように下の奴らに少し顔を見せた後、藍間に上がる。


ドアを開け中に入るといつもいる千秋は珍しく居なくて、奈緒だけがタバコを吸いながらソファーにもたれていた。


「あれ?今日千秋は?」


俺がそう声を出せば、背けていた顔をこっちに向けてきて――……


「てめぇ、何考えてる?」


冷たい視線と感情のこもっていない声を吐き捨てた。


「何も考えてないよ?」


俺がそう笑いながら返す。


「じゃあ、誰を探してる?」


「…。」


あ~流石奈緒だよね。やっぱ俺が誰か探してるの気づいてたんだ。

結構上手く隠しながら探してたつもりなんだけどな。


何も答えない俺に奈緒は


「―…人探しはお前の勝手にしろ。だけど、歩使うんじゃねぇ。」


と冷たく言い捨てると、タバコを揉み消し俺の横を通って藍間を出ていった。



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