♂GAME♀
来ない来ない、絶対来ない。
つか、来ないでよ……
新幹線へ続く改札前。
ずっとそう願いながら、約束の時を待つ。
3分前になっても姿を現さない事に安心し始めた頃だった。
何食わぬ顔で「奴」が現れたのは。
『本当に馬鹿な娘(コ)だね』
「おはよう」より先に、咲耶は私を馬鹿にする。
『まさか本当に写真を待ってるとは思わなかったよ』
『……どういう意味よ』
イラッとした表情が顔に出ていたんだろう。
私の眉間をつまみ、ケタケタと笑い出す。
『写真なんかネットでいくらでも出てるだろう? それを思いつかなかったのかい?』
『え? あっ!!』
そうだ!
SweetLoverのホスト紹介にでかでかと載っていたんだった。
それに、輝のブログにも……
『それに、僕は輝の写真を一枚も持ってないよ。 BitterSweetは、そんなに和気あいあいとした場所じゃなかったんだ』
……やられた。
まんまと騙されたよ。
『君に置いていかれないように咄嗟(トッサ)だったけど、成功したみたいだね』
くっくっと声を押し殺して笑う咲耶。
本当に策士(サクシ)なんだから、参っちゃうよ。
そうまでして名古屋に着いてきて何がしたいんだろう。
私の邪魔をする気?
それとも協力してくれるの?
『何をしに来たんだ、って顔だね』
恐いくらいに私の気持ちを当てる。
私って顔に出やすいタイプなのかな?
『僕は、輝の名前を知ってる。 だけど確信がないんだ』
『確信?』
『そう。 僕の知ってる輝の名前は、僕の予想から出てきた名前だから』
よくわかんないけど、合ってるか間違ってるか、わからないって事?
『だから、君も僕と同じ答えを出すのか。 どうしてその答えになるのか、それを知るために来た』
む、難しい。
もっと簡単に言ってくれたらいいのに……
『さぁ、新幹線の時間だ。 行こうか』
とりあえず、邪魔しなければ一緒にいても問題ない……よね?