♂GAME♀
悔しいけど、完全にお手上げ。
あそこまで言われたら、何にも聞けなかった。
母親は亡くなってて、父親は大企業の社長。
聞いただけで駄目だ。
私の力じゃ、輝を両親に会わせてあげるなんて無理。
とりあえず東京に戻って、ゲームだけ終わらせようかな……
そんなふうに思っていると、後ろから肩を掴まれて足を止められた。
『僕はもう一度、たいようの家に行くよ』
『へ?』
『行って、僕の答えを再確認したいんだ』
再確認?
まぁ、まだまだ新幹線も何本かあるし、少しくらいなら……
『ってか、園長もいないのにどうやって確認するの?』
またお決まりの「本人でないと」って言われるに決まってる。
上手く聞き出す方法でも思い付いたのかな。
『園長の部屋に入るだけでいいんだよ』
『部屋?』
『そう。 写真を見るだけで……』
写真?
写真で確認するの?
……そういえば、咲耶が言ってた。
「輝と父親が似てる」って。
もしかしてあの部屋に、輝のお父さんの写真が?
……あったっけ?
『あんたはどうする? 一緒に行く?』
『い、行くに決まってるじゃん』
何言ってんの!
そこまで聞いたら気になるっての。
やっぱ知れる所まで知りたいし。
『例え、輝に捨てられる事になっても?』
『……え?』
どうせいつものイヤミか冗談だ。
……なんて思えなかった。
咲耶が見た事もないような真剣な目をしてたから。
『それでもいいなら、一緒に行こう』
一体、たいようの家にどんな写真があるって言うの……?