♂GAME♀

数え切れないくらいキスをして、お互いを確かめるように抱き合って、

そして……

『エッチしないの?』

初めて、自分から抱かれたいと思った。
誰よりも深く触れ合いたいと思ってしまった。

『性処理の道具じゃねーんだよ』
『……え?』
『あれ、自分にも言い聞かせたんだ』

何それ。
どういう事?

『正直、ほんの数日前までは綾香を抱いたら堕とせると思ってた』

バツの悪そうにそう言って笑う。
可愛い顔して、けっこう過激な事言うものだから、いつも驚かされるよ。

『いっつもつまんないセックスしてるから、体だけは惚れさせる自信があったって事』
『じ……自信過剰なんだから』
『だけど、それじゃ俺も綾香を大事に出来てないなって気付いたんだ』

言い聞かせたって、そういう意味なんだ。

馬鹿だよ。
そんな事で、嫌いになったりしないのに……

『だから、今日は我慢する』

ああ、もう。
抱かれたって構わないのに……

『映画観たり買い物したり、そういう時間を重ねて、今以上に綾香に好かれた時にするよ』

今でも十分だよって言いたかった。
だけど、大切にされてるような、嬉しいような……

そんな気分になって、体なんてどうでもよくなった。

エッチする事が愛情に繋がるなんて思ってた事が、少し恥ずかしい。

『それに、こんな朝っぱらからはちょっとね』
『あはっ、それもそっか』

これからは、輝の愛し方で愛されるんだって、
何だか楽しくなってきたんだ……
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