♂GAME♀

言葉が出なかった。
意味が解らなかった。

『あの人の傍で、沢山の事を学びたいんだ』

ただ、涙が止まらなかった……

『泣くなよ』

輝は、フッと笑った。

『泣かれたら、離したくなくなる』

それは笑顔と呼ぶには力無く、寂しげだった。

『私も……一緒に……』

ようやく出た言葉は情けない程、小さかった。

だけど、輝はしっかりと応えた。
首を横に振る仕種で……

『今まで適当に生きてばっかだった。 学校も仕事も……恋愛も』

「恋愛」の前に間が開いたのは、自分のしていたゲームに罪悪感があるからだろう。

輝は、決して平気な顔で熟していなかったんだ。

『だから綾香だけは適当にしたくない。 綾香を連れてこれる程の人間じゃないんだ』

私は、輝の傍にいられればいい。
今のままの輝で十分なの。

また涙が邪魔をして、言葉が詰まる。


『だから、誓いのためのキスをした』
『……え……?』
『俺は、絶対に綾香以外を好きになったりしないって誓い』

少し照れ笑いが見えた。

『また会えた時、綾香も同じ気持ちなら俺……今度こそ綾香を俺のモノにするから』

顔から火が出そうだった。

こんな事言われたら、誰だって鼓動が早くなる。

ドクンドクンと流れる血が、いつもの倍以上速い気がした。

『変わらないでくれとは言わない。 他を好きになったっていいよ』

輝はそう言うと、強気に笑ってみせた。

『でも俺、欲しい物は絶対に手に入れる質(タチ)なんだ』

それは、また振り向かせてみせるという自信に満ちた笑みだった。


変わらない。
絶対に変わらないよ……

言葉に出せない代わりに、私も小さな笑みを浮かべた……
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