【花集】あの花火が遠くに見える



ミーンミンミン……。シュワワワワ……。




8月の早朝6時。




セミの鳴き声がこだまする事務所の倉庫で、僕は作業をしていた。





「面(めん)に……、タイツに……、ブーツ……。全部あるな」





明け方4時30分に起床している為、とんでもない睡魔が僕を襲う。




冷房はおろか、扇風機すらない狭い倉庫。




もわん、とした強い熱風で、すでに意識はやられそうになっていた。

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