ボクは誰?

図書館

図書館に到着。

建物を見上げた時に、

ふと、

史佳を思い出した。


史佳と何度も来たっけ。

甘酸っぱい思い出が、

この図書館には詰まっている。

でも、

もう過去の話。

終わったんだ。

史佳との思い出は、

ボクから消えることはないだろう。



図書館に入ろうとした時だった。


「ボクちゃん!」


この声は、

絵美だ。


「何だよ。」


「だって、ボクちゃんにメールしても、電話しても出てくれないしー。絵美、超淋しかったんだからー。」


「特に用事ないし。」


「超さびしー!」


『超』を連発する絵美の、

しゃべり方が嫌い。


「んで、何か用?」


「ボクちゃん、一人なの?」


「ああ。雅史や晃がいなくて残念だったな。」


「ボクちゃんは何しに来たの?」


ボクの言葉を、

無視するかのように、

聞いてきた。



< 156 / 406 >

この作品をシェア

pagetop