ボクは誰?

翌日、

ボク達は小川へ出かけた。

すごくきれいな水が流れているんだ。

魚が泳いでいる姿が、

よく見えて、

手づかみで捕まえられそうなくらい。

都会育ちだから、

さすがに無理だけど。


夏の暑さが、

ボク達を火照らせた。



いや、

ボクだけは違うかもしれない。

白いワンピを着た史佳は、

清楚な感じでかわいかった。

学校では制服だから、

見慣れない私服姿って、

すごく新鮮だった。


「わー!きれい!」

小川に到着した。

史佳が嬉しそうな顔で、

興奮気味に話す。


「手を入れてごらん。すっごく冷たいよ。」


ボクがそう言ったら、

小川にそっと手を入れる史佳。


「きゃ!冷たーい!でも、気持ちいい!」


「だろ?」


「こんな体験、なかなかできないね。私、初めてだよ。」


「史佳は旅行に行くとか、田舎に帰るとか、したことないの?」


突然、

史佳から笑顔が消えた。


「うん。ないの。」



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