不器用なシタゴコロ
vol.07

それから20分後。

私はリビングにある黒いソファーに身を預けていた。










「送るから」

『や、近いからッ!!』

「心配だから送らせて」

『大丈夫だって!!』

「ココから近いんデショ?
遠慮なんていらないから」





…前にも似たような会話をした覚えがあるんだけど…。





立ち寄った公園はウチの裏。

マンションのエントランスまで。

ゆっくり歩いても3分までかからない。





それなのに。





「夜道をゆずサンひとりで帰せるワケないデショ?
おとなしく送られナサイ」





“ポンポン”と私の頭に手を乗せ。

ふんわり微笑むとーやクンに。

また私は何も言えなくなってしまった。





「今日は楽しかった。ありがとね」





エントランスまで送ってくれたとーやクンは。

そう言って片手を振ると。

元来た道を戻っていった。










…そして、今に至る。



 

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