不器用なシタゴコロ
…ズルいよ、もう。
ホントにズルい。
間奏の合間に。
いたずらした後のような満足気な顔のミズキクンと。
テレくさそうなとーやクンが顔を見合わせる。
こんなんされたら。
もう怒れないじゃん。
とーやクンがあの時ミズキクンが話すのを止めた理由も。
とーやクンが何も言わなかったのも。
ミズキクンが言ってた。
“来てくれればきっとわかるから”
その言葉の意味も。
全部、全部。
このサプライズのため。
…ねぇ、とーやクン。
あなたが首輪をつけたという猫は。
一度は逃げ出したかもしれないけど。
ホントはね。
もう一度あなたに頭を撫でてもらえるのを。
あなたに触れてもらえるのを。
待っているんだよ…。