甘酸っぱい彼

引かれてく二人

朝、あたしは学校に思ったより早く着いた。周りは誰もいなくて・・・あたしだけ、一人ぼっち・・・。
「淋しいなぁ・・・。」
あたしは呟きながらドアを見つめる。誰かが来ることを願って・・・。そしてしばらくするとドアが静かに開いた。誰かが来たことにあたしは敏感に反応する。心を弾ませてドアを見ると修が頭をかきながら入ってきた。                    「あっ・・・、いたんだ。・・・俺が一番乗りだと思ってたんだけど。」
「今日は気分的に・・・。」
修はあたしを横目で見ながら自分の机に近づいて行く。怒られないかとびくびくするあたし。
「あのさ・・・。」
急に修に声をかけられて大げさにびくついた。
「そんなびっくりすんなよ。・・・あのさ、昨日いたあの・・・なんだったけな・・・あっ・・・その、柴咲健斗っていう男と本当に・・・何もねーの?」
あたしは修の言葉にきょとんとする。怒られるとてっきり思ってたあたしはまさかの健斗の話で唖然してしまったのだ。
「おいっ。相沢っ!」
「なっ!・・・何もって?」
あたしは我に戻ると不自然な質問に問いかけた。修はオドオドしながら俯いてる。
「だから・・・、その。・・・付き合ってる・・・とか?」
「それはないよ。本当に。確か健斗は彼女いるし。」
そうだ。健斗は留学する前に[俺、彼女できた!]って自慢げに言って来たんだ。
「相沢は・・・好きな奴とかいねーの?」
「あたしは・・・学校とか嫌いだったから・・・、そんな感情・・・ないよ・・・。」
修の言葉であたしは昔の事を思い出してしまった。

忘れたかった・・・あの時の辛い思い出・・・。
今でも思い出すと・・・胸が苦しくて・・・、痛くて痛くて仕方がなくなる・・・。
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