甘酸っぱい彼
病室は個室だった。修はベットに横になり窓を見つめてる。あたしはドキドキしながら近くにあったパイプ椅子に座った。沈黙が続く。その沈黙を破ったのは修だった。
「あのさ・・・、さっき刺された時のことなんだけど…。」
「うん。」
「あれ、友達としてとかじゃなくて・・・女としてって意味だから。」
修はあたしを見て顔を真っ赤にしながら言った。あたしはイマイチ解からなかった。
「だから・・・あれだよ、あれ。・・・えっと、つまり。お前に告白したんだよ。」
「えっ、あ・・・あれかぁ。えっと・・・。」

なんだろ、このギクシャクした感じ・・・。

修は横になっていた身体を起こすとあたしの顔を見て真剣な眼差しで言った。
「俺は、お前の事が・・・相沢の事が好きだ・・・。だから・・・、その。・・・付き合ってくんねぇ?」
いつもの修らしくない態度にドキッとしてしまうあたし。答えは、決まってる。
「あたしでいいなら・・・お願いします。」
「ヒューヒュー。お似合いのカップルやんかぁ。」
あたしが修の告白を受け入れた直後、あたしの後ろから声が聞こえた。はっとなって振り返るとそこにはさっき帰ったと思ってたメンバーがいた。
「桂太郎、祐介、菜生ちゃん、香奈ちゃん、それに修のお母さん!?」
「なんでお前らいんだよ!!」
修もさっきまで真っ赤にしていた顔を変え、ビックリした顔で言った。
「だって修ちゃんが百季ちゃんの事好きって知ってたから、二人っきりになったらどうなるのかなって見てたのよ。」
「まさか告白すると思わなかったね、けいたろっ♡」
「そやなぁ、まぁでも良かったんちゃうん?」
「修、百季ちゃんは彼女じゃなかったのね?でも、彼女ができてよかったわ。」
みんなは笑顔で話してきた。修は少し怒った顔でいる。そんな中、菜生ちゃんが苦しそうな顔で呟いた。
「それは良かったけど、修も百季ちゃんもまだ解決してない問題、あるんじゃない?」
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