甘酸っぱい彼
空は曇っていて今にも雨が降りそう。そんな中、向井君はあたしを見つめて言った。
「あん時の告白の返事、決まった?」
あたしはしばらく頭の中が真っ白だったけど、我に戻った。

そうだ、あたしは向井君に告白されてたんだ・・・。
しかも修の前で・・・。

「相沢、聞いてる?」
「うっ・・・うんっ。」
あたしは動揺を隠せない。

ちゃんと言わなきゃ。向井君とは付き合えないこと、好きな人がいてそれが修なこと、そしてそんな修と付き合ってるってことを。

「・・・向井君。・・・ごめんなさい。あたし、修の事が好きなの。」
しばらく沈黙が続く。ちょっとストレートに言い過ぎたかな?
「知ってるよ。」
「えっ?」
あたしはその言葉を聞いて目を見開いた。
「相沢が修の事好きなのは前から知ってた。」
「でっ・・でも、あたし・・・修と付き合ってるよ?」
「それも知ってる。薄々感づいてた。」
「じゃ・・・じゃぁ・・・。」
「それでも、俺は相沢の事が好きだ。」
向井君はあたしの手を握った。目の前にはモデルでもありクラスメイトでもある向井君が居る。それもあたしに告白してるタイミングで。

あたしはどうしたらいい?向井君の顔・・・よくよく見るとすごい整っていて・・・どこか修に似てて、アーモンドのような瞳に吸い込まれちゃいそう・・・。

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