森の奥の住人

無我夢中で
遊ぶ
みつるとみずき。

ぐぅ~。

みつるとみずきの
おなかは
おなかが空いたよぉ~とみつるとみずきに
教えている様だった。

「おなか空いたね」

みつるがみずきの
顔を見る。

「うん。空いたぁ~」

みずきも
無邪気な笑顔を見せる。
2人は顔を見合わせ
食べ物を思い浮かべる。
「梅干しの入ったおにぎりに焼いた魚にバナナ」
「僕も同じ物」

頭の中に
食べ物を思い浮かべるとおもちゃと同じ様に
次から次ぎへと
食べ物が出てくる。

みつるとみずきは
がむしゃらに
おにぎりや
バナナを貪る様に
食べた。

思い浮かべた食べ物を
食べ終えると
次の食べ物を
思い浮かべ
食べ終えると
再び思い浮かべる。
何度も何度も
思い浮かべたが
おなかが
一杯にならない事に
気付くみつるだった。

「みずき・・・食べても食べてもおなかいっぱいにならないね」

みずきに声を
かけるが
みつるの声が
無我夢中で食べている
みずきには
聞こえてない様子だった。

「自分の望んだ物が、手に入る場所でもある。でも、想像でしかない。他の物が欲しいと頭の中に浮かんだとき、前に欲しいと望んだ物は消えちまう」
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