This is us



「うっそー」


なっちゃんがクスクス笑っている。


「もうー!なっちゃんのバカ!」


名前を聞いただけなのに、こんなに鼓動が速くなるなんて…。


私、重症かも。


店を出て、学校へ向かって歩き出すと優花が突然立ち止まった。


「結城だ…」


「ちょっと、もう騙されないっ…あ」



遠くからでも分かる。


縦長のシルエット。


キラキラと光るブラウンの髪。


きゅって胸が締められて、息苦しくなってきた。


彼は鞄を手に持って、こちらへ歩いてくる。



「さっとり〜っ!話しかけなよ!」


「そうだよ!うちら先行ってるからさ」


二人がキャーキャー騒ぎながら走り出した。


「ちょっと!待ってよー!」


話しかけるって…


どうすればいいの?!

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