This is us

Side Ren




「ちょっと!待ってよ〜ぉ!」


なつめが後から追いかけてくる。


俺は構わず進んだ。


「待ってってば!何でそんなに怒ってるの?」


「別に、怒ってねぇよ」



ゆらゆらと揺れる瞳を見て、言った後に後悔する。


何ムキになってんだ…って。



「そ」


なつめは短く返して先を歩き出した。


実はなつめと話すのはあの時以来で。


少しも気にしていないその様子が、信じられない。



「そんな顔、見たくない」


背を向けたまま、なつめがぽつりと呟いた。


真っ赤な夕日に溶けてしまいそうなくらい、小さく。


俺は何て返したらいいのか分からず、なつめをチラッと見た。


.
< 137 / 388 >

この作品をシェア

pagetop