This is us

このファミレスを選んだのは、きっと高校生が入らないからだ。値段が高く、お金がない学生にとってはとても入りずらい場所だったりする。


「結城くん」

「おう。大丈夫か?」

「大丈夫だよ!あ、こちら友達の松川優花」

店の一番奥の席。客数もまばらな時間に、制服を着た高校生の男女は自分達しかいない。

「どうも、初めまして」

と言って優花は軽くお辞儀をした。

「可愛いね!俺、佐々木健吾。よろしくね!」

佐々木くんは相変わらず声が大きくて、テーブルから身を乗り出して優花に握手を求める。

一瞬、優花は私に"何こいつ"と目で訴えた後渋々握手をした。

「…で、かか彼氏のゆ結城くん」

「お前噛みすぎ」

優花に向けて彼を紹介するだけなのに、指先が震えるくらい緊張する。
そんな私を見て、佐々木くんと優花は弾けたように笑った。

佐々木くんの向かいに優花が座り、私は結城くんの前に腰を下ろす。


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