This is us
「…んで…何で?!そんな奴のどこがいいのよ」
香川さんはその場で泣き崩れて。
私の胸ぐらを掴んでいた子が、香川さんの肩を抱いた。
それって、本当の友情なんだろうか…
私は悠長にそんなことをぼんやりと考えていた。
「てめぇらには関係ねぇ。今度さとりに手ぇ出したら…」
「いいよ。結城くん、もう大丈夫だから…」
傷付け合うなんて、しなくていい。
そこには憎しみと傷跡しかのこらないって、分かったから…。
「行くぞ。いつまでもこんなとこにいたら、腐る」
結城くんは私の手を取り、歩き出した。
私は後ろ髪を引かれるような気持ちで、その場を後にする。
このまま、行ってしまっていいのか。
きっと好きな人にあんな事を言われてしまったら…
だからと言って、私に何か出来るわけではないけれど。
痛いほど、思い知った。
私が彼と付き合う事で、傷付く女の子がたくさんいる。
誰かの不幸の上に成り立つ幸せなんて、すぐに崩れ去ってしまうから。
私は胸の奥がモヤモヤでいっぱいになって、出口のない迷宮に入ってしまったような不安が襲った。
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