This is us


「いや、何かと思ったら…相原と付き合うって…」

「驚いた?」

「そりゃ…驚くだろ。何で相原と?」


そもそもどういう流れでそうなったのか。

なつめは意地悪そうにニヤッと笑って、足を組み替える。

「元々相原には色々と相談に乗ってもらってて、お互いに傷の舐め合いをしてたら…まあ、好きになってたんだよね」

「相原もお前の事…?」

ちゃんと好きなのか?なんて、俺が心配してしまう。

「もちろん。相原から告白されたんだ」

なんだよ、あいつ。この前話した時はそんな事何も言ってなかったのに。
嬉しそうに話すなつめに、ムッとしながらも相槌を打つ。

「なんか笑っちゃうよね…あたしと相原ってまさかだよね!」

「…良かったじゃん」

良かった。本当に。なつめが楽しそうにケラケラと笑っているのを見たら、ホッとしたと言うか。
相原ならなつめを幸せにしてくれると思った。
娘をとられてしまった父親のような、変な気分だけれど。

ずっとなつめと育ってきた俺だからこそ、彼女の幸せは包みたくなるような温かさで溢れている。

そんな幸せを、やっぱりさとりにも感じてもらいたい。

恋愛の一つもしていなかった俺が言うのは変かもしれないけれど…。

いや、俺じゃ駄目なのか。

自信が無くなってきた。


「…蓮?聞いてる?」


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