This is us


「これ、お父さん…が…?」

私は目を丸くして、二人を交互に見つめる。

「そうよ。パパ料理上手でしょ?」

お母さんは嬉しそうに笑って、サラダを取り分けて私に差し出した。トマトやサーモンが乗った華やかなサラダは、大雑把なお母さんが作るサラダよりずっと綺麗で。

「うん」


お父さんの事を嫌いだなんて言った自分が情けなくて、そう答えるだけで精一杯だった。

野菜スープも、チキンの照り焼きも、美味しくて優しい味がする。

二人はワインを開けて、楽しそうに会話していた。

何でお母さんは、寡黙なお父さんと結婚したんだろうって不思議に思っていたけれど。

こうして二人を見ていると、私まで楽しくなってくる。

「さとり、お誕生日おめでとう」

「おめでとう」

大きなバースデーケーキには、蝋燭が18本均一に並んでいた。

何より、このケーキも手作りなんだと知って瞳に涙が溜まっていく。

「…ありがとう」

一気に吹き消そうとしたけれど、涙が零れ落ちて半分も消えなかった。


私は駄目な出来損ないの娘だって、自分を悲観していたけれど。

今、心からお父さんとお母さんにありがとうって言えた。

誕生日は生まれてきた事をお祝いすることだけれど、両親に感謝する日でもあるのだと知る。

少しは、おとなに近付けるかな…


まだまだ子供かもしれない。でも、そうやって色々な事を経験して成長していくのかな。

泣き虫でポロポロ涙を流す私に、お父さんは"小さい子じゃないんだから"とぶつぶつ呟きながらティッシュを渡してくれた。

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