This is us



日曜日。
箪笥の奥深くで眠っていた浴衣を引っ張り出して、お母さんに着せてもらった。

紺の生地に白い牡丹が咲いている。

長い髪もアップにしてみた。


「デート?」


なんて、お母さんは何度も鏡を見ている私に言った。


「ちっ違うよ。友達だす」


思いっ切りたじたじに噛んでしまい、お母さんはますます笑顔になる。


「いいじゃないの。隠さなくても」


「ぶっ、本当に違うから〜!行ってきま〜す」



一歩外に出れば、もわっとした熱風が肌を包んだ。


ほんのり白じんだ空の遠くで、一番星が輝く。


駅へ向かう人の波は、浴衣を着た女の子やカップルでいっぱいだ。



「あっ、小田切さん!」


弾んだ声に振り向くと、相原くんが手を振ってこちらへ走って来る。


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