This is us



誰かに対して、そんな気持ちを抱いたのは初めてで。


切ないような、悲しいような…何とも言えない感情が押し寄せた。


「…大丈夫か?」


「うん…なんか、ごめんね…」


「いや…」


彼女は大きな瞳が真っ赤になりながらも、ニッコリと笑う。


「まさか結城くんに会うなんて、思わなかったな」


その言葉に、ギクッとした。

不自然に思われただろうか。


けれど、無邪気に笑う彼女を見ていると不思議と安心した。


「たまたま通りかかっただけだよ」


「そっか…あ、部活行かなきゃ…」


そう言って小田切が立ち上がる。



「部活、好きなんだな」


「うん!もうすぐ大会だしね」


さっきまでの悲しい顔した彼女はもういなかった。

明るい笑顔で、キラキラと輝いて見える。


「頑張れよ…」


「ありがとね!じゃあ」


ひらひらと手を振って、去っていく彼女の背中をじっと見つめた。


触れようとして出来なかった自分の手を、ぐっと握りしめる。


相原か…。


俺は何考えているのだろう。


ぐちゃぐちゃになった思考回路に、苛立ちを覚える。


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