天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「向こうに行って下さい!サーシャさん」

俺は、頭上に浮かぶ中島を睨み付けると、サーシャに向かって叫んだ。

「サーシャさん?なぜ…あたしの名を?」

サーシャは眉を寄せた。

しかし、そんなことを気にしている場合ではないことは、わかっていた。

それに…ボロボロになりながらも、立ち上がった少女の背中が、自分の知る…ある少年と重なった。

「!」

サーシャは目を見開くと、なぜか次の瞬間には、太陽に背を向けて走り出していた。

その足音を背中で聞きながら、俺は今の状況を打破する方法を考えていた。

(どうする?)

魔力も使えない。

このままでは、勝ち目はない。

(くそ!)

考え悩んでいる俺を見て、頭上に浮かぶ中島は重い口を開いた。

「できれば…このまま、気を失ってほしい。そうすれば、もう…痛い思いをせずに、終わることができる」

中島の言葉は、優しいように聞こえるが、違った。

俺は顔をしかめ、

「気を失ってる間に、殺して…肉体を奪う!そんなことをしょうとしている癖に、何を言ってやがる!」

中島をさらに睨んだ。

そして、中島を指差すと、

「お前は、そうすることで、自分の罪を軽くしたいだけだ!その方が痛みを与えなかったと、自分を慰めたいだけだ!そんな言い訳に付き合えるか!」

俺は、怒りを露にした。

その怒りは、中島に対してでもあるが…それ以上に、そんなことを彼に、そして彼女らにやらしている相手に向けられていた。

「俺が、あんたを倒す!」

俺が決意を決めた瞬間、どこからか…回転する2つの物体が飛んできた。

「例え…魔力が使えなくても…普通の人間は、いつも戦ってきた。弱い肉体を守る為に、強い相手に立ち向かう為に!」

中島を指差している俺の手におさまる前に、回転する2つの物体は十字にクロスした。

「武器を手にした!」

俺は、それを握り締めると、一振りした。

「ライトニングソード!」

時空を越えて、俺の手に剣が握られた。

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