天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「島の一部だと!」

そこで、俺ははっとした。

足場になっていたのは、岩ではない。

人間の骨であった。

「我々の野望を邪魔する者は、殺します」

男の両腕は、蟹の手のようになっていた。

「野望だと?」

「我々は、人間を滅ぼす!」

蟹男は、両腕を天にかざした。

「結局、人間を殺すのかい?」

俺は笑った。

「この体に目覚めた時、人間は俺を化け物と言い、殺そうとした。だから俺は、殺した!だけど、人間がいる限り、俺は殺されるかもしれない。だから、俺は人間を滅ぼす!」

「フン!何という身勝手な理論だ」

俺は呆れた。

「人間がいなくなった時、初めて安心できる!」

蟹男は、両腕を俺に向けた。

「人間の死骸でできた島にいると、心が安らぐ!」

「すまないな」

俺は、フッと笑った。

「もっと簡単に、安らぐ方法があるぜ」

その瞬間、どこからか…回転する2つの物体が飛んで来て、蟹男の両腕を切り裂いた。

「お前を迫害した人間は、愚かだと思うよ。殺されかけたことにも、同情する。しかしな!」

俺は、回転する2つの物体を掴むと合体させて、槍にした。

「これ程の人を殺したお前に!同情できるか!」

そして、槍で鱗を突き抜くと、一撃で心臓を貫いた。

「お前は、その姿になったから…化け物になったんじゃない。人を殺したから、化け物になったんだ」

「な、な、何で…」

白目をむきながら絶命した蟹男から、槍を抜いた。

自ら積み上げた骨の山に、崩れ落ちる蟹男。

「…だとしたら、俺も化け物だな」

俺は、蟹男の死骸よりも、空にある月を見上げた。

「どうやって、帰ろうかな」

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