天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「雑魚が」

光一は振り返ることなく、集まった者達を目で威嚇した。

「緑!」

高坂の怒声に、緑はさやかの手を引いて、教室から出た。

「君達に、神が倒せるのかい?」

「やってみなければ…わからないだろ?」

廊下を走り出した緑とさやかとすれ違い、姿を見せた美奈子は、銃口を光一に向けた。

「お前は!」

「くらえ」

十三個の銃口が開いた装飾銃から、光の束が放たれた。

「今だ!」

高坂は拳を突きだした。

「月影キック!」

九鬼はジャンプし、サーシャは光一の背中に向けて、突きの体勢で、ドラゴンキラーを装備し走り出した。

ここに集ったすべての者の一斉、攻撃。

しかし、光一はせせら笑った。

「無駄だ」

「な!」
「何!?」
「お前は!」
「馬鹿な!」

驚愕する4人の前に、現れた5人の女神。

「赤星浩一には相棒がいただろ?」

光一は、唇の片方をつり上げた。

「ア、アルテミア!」

サーシャの突きを指先で摘まんで、止めたアルテミア。

九鬼の蹴りを、蹴りで止めたアルテミア。

高坂の拳を片手で、止めたアルテミア。

美奈子の光撃を、すべて吸収したアルテミア。

「君は、逃げたやつを追ってくれ」

光一の前にいたアルテミアが頷くと、黒いスーツ姿になり、一瞬で姿を消した。

「他の者は、そいつらを殺れ!」

光一の言葉に頷くと、4人のアルテミアは反撃を開始した。

4人のアルテミアは一斉に、ストロングモードに変わった。

「うわあっ!」

4人のアルテミアの蹴りが、4人をふっ飛ばした。

サーシャは、窓ガラスを突き破り、外に落下した。

九鬼の体も、教室の扉を突き破った。

他の二人も、教室から廊下に転がった。

「ハハハハ!」

光一は、笑った。

「彼女達は、この世界に来た時の天空の女神を元につくられている。君達では、絶対に勝てないよ」




その頃、西館の階段を駆け下りた緑とさやかの前に、先回りしたアルテミアが、立ち塞がっていた。

「天空の女神…」

逃げる途中で、気を取り戻したさやかは、激しく息をしながらアルテミアを睨んだ。

「あり得ない」
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