天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(前編)
「テラ…」

女神テラのことを思いだした。

しかし、テラはいない。

だからこそ、月の女神である自分が、力不足であるが、その世界の支柱になり、安定させているはずだった。

「女神テラ?」

サーシャも考え始めたが、フッと笑った。

「可能性の一つですが…今は、一番気になることを解決しましょう」

サーシャは立ち上がると、後方に向けてジャンプした。

「月の女神が知らない!月の戦士!」

そして、身をよじると、乙女レインボーに襲いかかった。

「その正体を探りましょう!」

空中から飛びかかるサーシャに、気付いた乙女レインボーは、蹴りを頭上に放った。

「は!」

サーシャの飛び蹴りと、乙女レインボーの蹴りが交差した。

「な、何だ!?」

乙女レインボーと対峙していた半月ソルジャーは、目を丸くした。

「貴様は、何者だ?」

互いの蹴りは、相殺された。地面に着地したサーシャと乙女レインボーの戦いが、始まった。

「い、今の内に!」

逃げようとした半月ソルジャーの目の前で、いきなり炎が燃え上がると、人の形になり、立ち塞がった。

「な、何奴!」

思わず足を止めた半月ソルジャーは、顔を真っ赤にさせた。

なぜならば、目の前に現れた炎は、女になったからだ。それも、全裸の。

「フレア!気をつけろ!そいつからも変な感覚を受ける」

乙女レインボーと戦いながら、サーシャは叫んだ。

「…」

フレアと言われた女は、無言で頷いた。

そして、ゆっくりと近付こうとした。

「待て!」

しかし、それを半月ソルジャーは手のひらを突きだして止めた。

「私に近付くな」

と言いながら、いきなり下のタイツを脱いだ。


「あ、あれは!?」

理香子は、驚きの声を上げた。

下を下ろした半月ソルジャーの腰に巻かれているものは…。

「オウパーツ!」

そう…。

紛れもなく、オウパーツの一部だった。
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