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「桃井か?」

その声に、ビクッと私の躰が震えた。

聞き覚えのある声だった。

忘れることが間違っているくらいの、声だった。

視線を向けると、
「――平林、くん…?」

かつての、クラスメイトがそこにいた。

そして、私を利用して遊んだ彼がこの場にいた。

高校時代の面影はもうないけど、まさに彼だった。

昨日送られたお見合いの写真の彼だった。

「知り合いか?」

平林くんの後ろから、あの人が出てきた。

私が本気で恋をしていたあの人だ。
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