”ただ、愛されたかった…”

 瑠理が、子供の頃の母親は、口数の少ない人だった。

 いつも、必死で、何かに耐えている感じがする人だった。

 実際、耐えていたと思う。


 
 そんな、母親が、可哀想だった…。

 でも、それとは、別の感情もあって、

 尊敬もしていた。




 多分、母親は、自分の事をそんなふうには、思わないだろうけど、

 瑠理から見たら、母親の生き方は、痛々しかった…。


 


 でも、母親は、変わってしまった…。

 
 今まで、抑えてた感情が、溢れてしまったんだ…。


 我慢してきた人だから、一度溢れたものは、もう、止まらない…。


 
 そんな母親が、嫌で、それに可哀想で、


 いつも、頭の中を、母親への感情が、グルグル回っていた。
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