ゴシップ・ガーデン
その時、突然、

店内のBGМが消えて、

オルゴール調の
ハッピーバースディの
音楽が流れだした。



店員が、
あたしたちの席にやってくる。

手にはケーキを持って。


そのケーキは
あたしの前に置かれた。


「え・・・」


あたしはケーキを凝視した。


“シイナ、誕生日おめでとう”


ケーキにはそう描かれていた。


あたしは父を見た。

耳が赤くなってる。



「こんなキザなこと、
どこで覚えたの」


冗談っぽく言ったら、
父は恥ずかしそうに、
首をかいた。


「ガラじゃないかな」


「うん、でもうれしい。
ありがとう、お父さん」



あたしの笑顔を見て、
いっそう父は嬉しそうに
満面の笑みをした。


あたしの誕生日を祝う、
たくさんのフルーツで飾られた
可愛いケーキ。


この日のために、
父は予約をしてくれてたみたいだ。



「食べるのがもったいないな・・・」



あたしはケータイで
写真をとった。



ヒオカ先生にも
見せてあげたいと思った。


あたしの家の事情を
少なからず心配してくれてる
先生に、見せてあげたい。


大丈夫、ほら、
あたし、大事にされてるから、って。





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