ゴシップ・ガーデン
−red−

1.

「ようこそシイナ!
来てくれてうれしいわ」



リビングの真新しいソファーに
座ったあたしは、

キッチンで紅茶を入れる千夏姉と、
バルコニーからの景色を交互に眺めた。



7月に入って、
千夏姉の新居に呼ばれた。



季節はまだ梅雨真っ只中で、
もう暑いんだけど

雨が降ってジメジメしてるから
まだ夏!って感じでもない。


期末試験は終わったばっか。


でもあたしは受験生で、
目指す大学は
ちょっと無理めに設定した難関だった。


だから落ち着けるはずもなく…。


この時期に遊びに行くのは
ちょっと気が引けると思ったけど、

試験も終わって
気分的に一段落したから

息抜きにはちょうど良いかなと
思い切って出かけた。



新居は、
千早の実家にも近い
新築のマンション。

全てが新調されたシックな家具。



鼻歌を歌いながら
紅茶をカップに注ぐ
新婚の千夏姉。

妊娠中だからかな?

顔つきがとても柔らかくて穏やかで
幸せなオーラでいっぱいだ。




「友吾兄は土曜なのに仕事?」


あたしは出されたアールグレイに
口をつけた。


「そう。研究職だから
あんま休みは関係ないみたいね」

フフって千夏姉は笑った。


友吾兄は、
化学系の会社に勤めている。



千早は、
例の好きな男子との約束があるらしく
今日は来なかった。

うまくいってるみたいで
あたしもうれしい。



だから今日は、
千夏姉と二人きり。

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