【短】意地悪な恋慕



あたしはそんな未博を怪訝な表情で一度見つめ、そこまでしてあたしに見て欲しい"嬉しいこと"とは何なのか。



差し出された携帯を手に取り、光を放ちながら映し出されるディスプレイを見た瞬間。



あたしの胸は鋭い刃物で思いっきり突き刺されたようなとてつもない痛みを訴えた。



「えへへ。麻耶ちゃんに告られちゃった♪」



ほんのりと頬っぺたをピンク色に染めて。



ほんとに恋する乙女の如くその麻耶(マヤ)ちゃんという女の子に恋する未博は男なのに無邪気すぎて女のあたしなんかよりずっと可愛らしい。



声変わりしたけどそれほど低くはない声。



鼻垂れ小僧だった昔の未博の面影は今はもう全く見当たらず、元から端整で可愛さが含まれた顔は今じゃ可愛さ抜けて"カッコいい"って言葉が似合う男の顔に成長していた。



あたし、街寿怜莉(マチナガ レレ)と神寐未博(カグミ ミヒロ)はいわゆる幼なじみという関係で、あたしは未博に物心付いた時からずっと片想いしているのだ。



だけど、未博はあたしの気持ちなんかに気付くはずもなく。



好きな子が出来たら真っ先にあたしに報告してきて、相談されたり告白するのに付き合わされたりと。酷にも色々と未博の恋愛に付き合わされているあたし。


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