Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
あたしだって一応12才の年の差を考えて、余り子供っぽい水着だと響さんが嫌じゃないかと思って、ワザワザ大胆なカットの大人の女性を思わせる黒のセクシーな水着を、それこそ清水の舞台から飛び降りるような気持ちで買ってきたのよ?

だって、誰が見ても響さんの隣りに相応しい女性だと思われたいじゃない?

どう見ても妹を連れているだなんて思われたくないじゃない?

一応こう見えても結婚4ヶ月の新婚ホヤホヤのカップルなんだから。

そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか周囲に男性がいなくなるまでは水着になる許可を出そうとしない響さん。

もう熱射病になりそうなんですけどー?

辺りには楽しげに波間で戯れるカップルや家族連れが、気持ち良さそうに煌く海の水を跳ね上げている。

「響さん…もうダメ。倒れちゃうよ。海に入ろう?」

「ダメ。あそこのヤローだけのグループがお前を見てるから。」


見てませんって!…見ているとしたらあたしの暑苦しい姿に同情しているんじゃないの?

あたしの抵抗にも頑として首を縦に振らない響さんに、プゥと膨れっ面で上目づかいで迫ってみる。
響さんはどうもこれに弱いらしい。ついでに可愛く猫なで声でおねだりなんかもしてみたりして…。

これでもちょっとは学習したのよ?響さん操縦法。まだまだ成功率は低いけれどね。

失敗するとベッドに磔(はりつけ)の刑にあって、次の日は立てなくなるからあまり使った事は無いんだけど、このままじゃ本当に倒れちゃいそうで、背に腹は変えられないもの。

今日は…うまくいくかなぁ?

少し力を抜いて、彼にもたれるように甘えてみる。

瞳を潤ませて、拾ってくださいの子犬モードで訴えてみた。


…がんばれあたしっ!



「ねぇ?もう…我慢できない。はやく入りたいの」



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