"code = choice"

 ツバを飲み込む。
 イヤな予感が脳裏をよぎる。
 恐る恐る記事一覧に戻り、シークレット記事をクリックする。
 なぜか、パスワードを入力しないまま記事が開いた。
 瞬間的に、全身からイヤな汗が噴き出す。
 昨夜の作業を思い出し、思わず頭を抱え込んだ。

 もしかすると、あのブルーレイディスクのプログラムが原因なのではないのか―――という思いが、頭の中を駆け巡る。

 ヤバい。
 これは、かなりヤバい。
 もしそうなら、あの時の再現ではないか。

 僕は食べ掛けのパンもコップに注いだコーヒーをそのままに、カバンを持って家を飛び出した。向かう先はモモエ。朝一番で行ったことはないが、Zさんは居るかも知れない。

 喉が異常に渇き、心拍数がドンドン跳ね上がる。僕は日々の運動不足を呪いながら、モモエにつながる道を先へ先へと急いだ。

 もしも、あのブルーレイディスクが原因ならば、僕は瀬戸 麻美に対して取り返しが付かない過ちを犯してしまったことになる。


.
< 14 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop