"code = choice"

 拓郎の父親は警視庁勤務のキャリア組で、詳しくは知らないが既に何とか官とかいう役職に就いている。そして、母親は県教育委員会の副委員長。
 それなのに、どこでどう間違えれば、こんないい加減な男になるのか。
 拓郎には2歳違いの弟がいて、僕が受験することさえも許されなかった、私立若宮高校に在学中。原因は、この辺りにあるのかも知れない。

「それはそうと、明日の土曜日、楢崎学園のお嬢様方とのコンパがあるんだけど、人数足りねえし来いよ」
「俺、そういうのは―――」
「おいおい。健全な男子が、コンパに興味を示さねえってのは異常だぞ。バーチャル世界にドップリ浸かってちゃあ、マズイぞ」
「う・・・」

 目を輝かせて顔を近付けてくる拓郎の勢いに、僕は思わずうなずきそうになる。人見知りが激しい僕は、コンパだのといった初対面の人が集まる場所は、本当に苦手だ。
「なあ、たまには付き合えよ」


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