君に幸せの唄を奏でよう。
「それに、俺はお前が羨ましかったのかもしれない」
ああ…。そうか、そういうことか。
自分の言った言葉で、自分の本当の気持ちが分かってしまった。
「あたしが?」
「歌を愛しているから」
俺は、嫉妬してたんだ。心の底から歌を愛するお前に。
お前を見ていると、心の底から歌を憎む自分がもっと醜くなるから。
「だけど、俺は捨てたんだ。“あの日”から」
そうだ。なにもかもが変わってしまった。もう二度と戻れない。
歌を愛していた“あの頃”には---。
「あの日から…?」
「…………」
高橋に聞かれた途端に、俺は黙ってしまった。
その後の話しをする事が出来なかった。いや、“話したくないんだ”
“あの日”の事を全て思い出してしまうから。
どうすればいいんだ?俺は、俺は---。
「ごめん!嫌なら言わなくていいから!」
高橋が、俺に気を遣ってくれているのが分かった。
年下に、気を遣わせてなにやってんだ…。
ただ、自分に呆れるしかなかった。