『あなた』へ

虚偽の関係

それから彼は、私の家にほぼ毎日居座るようになった。



当初はお互いぎこちなく、私は傘を持っている彼を見るだけで恐怖に怯え、あの時を思い出す。



最初は彼も気を使い優しくしてくれたのもつかの間、すぐに喧嘩は絶えなくなった。



私は、強く物事を言えなくなり彼の機嫌を損ねないように努力した。



嫌だと言われたことはせず異性とのメールにも気を使う。



弟との生活もあり、仕事を辞めることだけは出来なかった。



それは理解してもらったが、気に喰わなかったみたいで更に束縛が激しくなる。



それでもうまく付き合うように努力をした。



自分が自分じゃないような感覚だった。




(じゃあいったい私は誰なんだろう)
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