『あなた』へ
なんだか大変なことに巻き込まれてしまったんじゃないかと不安に駆られる。



ママや女の子が心配そうに話している。



その時は長い夜になるとはまだ知るよしもなかった。



お店が終わる頃、佐藤さんから電話がかかってきた。



『今から少し会えん?』



その日は週に1回彼が私の家に来る日だった。



彼氏が待ってるから無理ですと断った。



『すぐ終わるから、下の駐車場で待っとるけんな』



少しならと甘い考えで私は車に向かった。



『実はのぉ、あいつ警察に逃げ込みよおたかもしれんのや

今警察が俺のこと探しとるらしいわ

訴えられたら、傷害・恐喝で2年は確実や』



(なにそれ?なんでそんなこと言うの?私にどうしろと?)



『頼む!!今晩だけ一緒にいてくれないやろか?!

明日になったら自首するけん』




はいっ?



いやいや、普通に考えたら無理でしょ。



丁重にお断りした。



『あと2年会えないと思うと・・・お前と思い出だけでも作っておきたいんじゃけ』



(そんな勝手な・・・)



困っているといきなり唇を奪われた。




『よし決めた!!少しでいいからホテルに付き合え』



そう言うと車を走らせ始めた。
< 21 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop