先生の秘密
第十一章 保健室の番人


ゴールデンウイーク明け。


「はい、おはようございます。皆、欠席もいないようで、先生は安心した。連休明けできついかもしれないが、一日頑張ってくれ」


気をつけ、礼。


ありがとうございましたー。



「青葉?あおばー」


ぼーっと窓から校庭の様子を眺める。


まだどこのクラスもHR中で、当たり前だが校庭を出ている者は誰もいない。


「あ・お・ばー!」


ゴンッ、と頭に衝撃が走る。


我に返り顔を上げると、心配そうな先生と、驚いたようなはつかと、教科書を構えて怪訝な顔をした聖が私を見ていた。


「本庄、具合が悪いのなら保健室に行ってきなさい」


……頭痛がします先生。


「だ、大丈夫ぅ?青葉」


…これが大丈夫そうに見える?


「アンタ、顔悪いわよ?」


…それを言うなら、顔色がじゃないでしょうか。


でも、確かにさっきから頭がガンガンと痛むし、心なしか暑いような気がする。


「あー…、ちょっと触るぞ」


先生は柄にもなく、優しげな声でそう呟くと、私の額に掌を当てる。


冷たくて、気持ちいいー。


「本庄、お前すごい熱じゃないか!悪いが、こいつ保健室に連れて行くから」


そういえば、今日の一限目、数学だったような。



< 113 / 131 >

この作品をシェア

pagetop